R ETHICAL Journal 心地よいエシカルダイヤモンドの未来

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心地よいダイヤモンドジュエリーの未来

地球からの手紙のように、地中深いマグマの上昇運動により結晶するダイヤモンドは、99%純粋な炭素の結晶であり、あらゆる薬品、熱にも侵されずに存在します。モース硬度は10と宝石の中で最高で、その輝きは純度と硬度の織りなす芸術です。

西洋においても東洋においても、世界を見渡す歴史の中で、深く愛され続けてきたダイヤモンド。結婚や記念の節目として、新しいことの象徴のように、多様な形で文化に馴染んできました。未来に心躍らせる新婦だけでなく、素敵に年を重ねていく方にもすっと馴染み、輝き続けるダイヤモンドジュエリー。悲しいことに、そして驚くことに、その美しい輝きとは裏腹に、世界各地ではダイヤモンドをめぐり、暴力や人権侵害など、様々な問題が浮き彫りになっています。

もしかしたら、その深い問題を目の前にダイヤモンドジュエリーを身につけることを躊躇ってしまうかもしれません。悲しみの中で光を見つけられないかもしれません。

ただ、世界のダイヤモンドをめぐるマーケットは、日々多くの関わるステイクホルダーと身につける人々との間で、変わり続けています。「人と環境に優しいものを選びたい」という意識の高まりは、特別で洗練されたものから、もっと日常に寄り添い始め、エシカルなものを身につけたいと考える人達によって、優しいダイヤモンドがその存在を輝かせ始めたように思います。

 ダイヤモンド産業の裏事情 内戦とブラッド・ダイヤモンド

ダイヤモンド産業の裏側には常に、暴力や人権侵害などが存在します。国際的に高値で取引されるダイヤモンドは、紛争当事者が資金を得る手段になりやすいからです。

内戦が起きている地域にあるダイヤモンド鉱山は、反政府組織に牛耳られている場合が多く、採掘されたダイヤモンド原石は、武器を手に入れるための資金源となります。また、地元の人々は強制的にダイヤモンドの採掘に従事させられる場合が多く、拷問や児童労働などの問題も深刻化しています。こうした背景を持つダイヤモンドは、いつしか「ブラッド・ダイヤモンド(紛争ダイヤモンド)」と呼ばれるようになりました。

2003年、ブラッド・ダイヤモンドを規制することを目的とした「キンバリー・プロセス認証制度(以下キンバリー・プロセス)」が始まります。キンバリー・プロセスにより、参加国が輸出するダイヤモンド原石に、紛争とは関係ないことを証明する「原産地証明書(キンバリー・プロセス証明書)」の添付が義務づけられました。

紛争フリーダイヤモンドは、キンバリー・プロセスに則って採掘され、紛争とは無関係であることが証明されたダイヤモンド原石です。キンバリー・プロセス発動後、世界のダイヤモンド市場で取引されているダイヤモンド原石のほとんどは、紛争フリーダイヤモンドとなりました。このように、ダイヤモンド産業は、世界的規模で透明性の高い取引にシフトしつつあります。

 

エシカル・ダイヤモンドとは

エシカル・ダイヤモンドは、「紛争の資金源とならないダイヤモンド原石」という枠組みを超え、児童労働、強制労働、暴力、人権侵害、環境破壊など、すべての「非倫理的な行動」とは無縁であることが保証されているものを指します。エシカル・ダイヤモンドには、採掘から流通まですべて倫理的行動によって行なわれているかどうか、細かな基準が設けられていて、第三者監査機関のチェックが入ります。

カナダの例が先駆的でしょう。カナダでは、ダイヤモンド採掘従事者と動植物を法律によって保護しています。国内の主な鉱山では、先住民など周辺住民を積極的に雇用し、安全に採掘できるよう現場を整備しているほか、採掘の際に使用された水の再利用と、定期的に汚染調査を実施するなど、複合的に配慮するのが特徴。採掘されたダイヤモンドはその後、第三者機関の監査を通して市場に出され、サプライチェーン内で、エシカル・ダイヤモンドであるという証明書が共有されています。

人と環境に優しいエシカル・ダイヤモンドの取り組みを、世界の人々が求め始めたこともまた、サステイナブルな働きを加速していくでしょう。

いわゆるミレニアム世代と呼ばれている20~30代の人達は、手にする製品の価値と共に、それがどのように製造されたのか、プロセスも重視する傾向にあると言われています。ダイヤモンドジュエリーに対しても同じで、エシカル・ダイヤモンドの需要が高まるのも、ダイヤモンドが紛争を助長していることを憂い、エシカルな製品を求めるミレニアム世代が増えているからと言えるでしょう。

■エシカルな素材を選ぶことの意義

ブラッド・ダイヤモンドのほとんどは、ダイヤモンド市場から消えましたが、それ自体消滅したというわけではありません。ブラッド・ダイヤモンドの採掘は現在も行なわれていて、違法に取引されています。

ブラッド・ダイヤモンドが価値を持つのは、そこに需要があるからです。真の意味で紛争ダイヤモンドにピリオドを打つには、一人でも多くの消費者が、手にするダイヤモンドの出処やヒストリーを重要視して、エシカルなものを選ぶようにすることではないでしょうか。

人と環境に配慮してつくられたダイヤモンドジュエリーの需要が伸びれば、現在よりも多くの企業が、エシカル・ダイヤモンドを取り扱うようになるでしょう。つまり、エシカルな素材を選ぶことは、「人と地球に優しい経済活動の実現」に繋がるのです。

 

■未来のためにエシカルなダイヤモンドジュエリーを求めて

R ethical Journalでは、ダイヤモンドを取り巻く環境と、それを身につけていく世界の人々の意識の変遷について共有させて頂きました。優しいダイヤモンドジュエリーの未来を築いていけるか、それを持続可能な発展へと広げていけるかは、現代に暮らす私たちがいかに心地よいものを選んでいるかと同義のように思えます。

人と自然に配慮した、エシカルなダイヤモンドジュエリーは、個性がもたらす調和という装身具としての美しさだけでなく、背景に想いを馳せていく文化的で新しい価値ともいえるでしょう。歳を重ねてもなお愛していけるものだからこそ、エシカルな素材は意思を持つように寄り添ってくれるはずです。

私たちのフィロソフィーのベースは、地球への敬意が出発点。変わりゆく地球への敬意を失うこともしたくありません。

それは、ジュエリーは、あなたの価値を表す一つのアイコンとなって、長い年月をかけて、あなたの命を輝かせてくれるものだから。いつも生活のそばにいて、勇気を与えてくれるものだから。

だからこそ、サステイナビリティは何にも変え難い大切な価値ではないでしょうか。

R ethical Founder & Designer Mari Hoshi

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