ジュエリーの価値は、素材やデザインだけでは決まりません。どれだけ細かな部分に心を配り、見えない部分に手間を惜しまないか。
その「つくりの深さ」が、時を経ても美しさを保つかどうかを左右します。
日本の職人、とくに甲府の職人は、その「見えないところ」への意識がとても高いと言われています。
石座の裏側の面取り、爪の厚みのバランス、指に触れたときの自然な馴染み。
たとえ表から見えない場所でも、丁寧に整えられているからこそ、長く心地よく身につけられるジュエリーとなります。
しかし今、その技術は転換期を迎えています。
職人の高齢化が進み、後継者は以前ほど多くありません。
早く・安く・大量に作る海外生産が一般化し、日本の細やかな手仕事は「効率」の影に隠れつつあります。
それでも、私たちが日本の職人にこだわり続けるのは、理由があります。
日本の手仕事でつくられたジュエリーは、時間とともに良くなるからです。
手にした時が一番美しいのではなく、数年、数十年と向き合うほどに、深みが育っていきます。
触れられるたびに金属が柔らかい艶を帯び、小さな傷でさえ、
その人の歩みとして愛おしさに変わります。
消費というより、共に生きるもの。
私たちは、職人とともに技術を守り、次につなぐことを使命としています。
それは簡単なことではありませんが、
火を灯すように、少しずつ確かに受け継いでいくことはできます。
美しさとは、そこに実は、派手さではなく、丁寧に積み重ねた時間の中に宿るもの。
これからも、静かな手仕事から生まれる輝きを、大切に伝えていきます。
R ETHICAL